資金調達とは?分かりやすく返済不要の融資を解説

資金調達についての図解 ファクタリングのカテゴリ

新たに事業を立ち上げたり、今の事業を拡大したり多角化に乗り出す時、またはビジネスを進めている過程で何らかのトラブルが発生し、まとまった額の資金が必要になった際は、外部から資金を調達することになります。 ただ、資金調達をどこから、どんな方法ですべきなのか、悩んでいるという方や、その一つである「融資」を選んだはいいが、長く返済に追われるのは嫌だと考えている方も多いはずです。 そこで今回は、資金調達の方法には具体的にどのようなものがあるのか、「返済の必要性」を含めそれぞれの概要や、メリット・デメリットについて、詳しく解説してまいります。

事業継続・拡大のための資金調達!返済不要な方法もある

ビジネスを始めそれを継続し、チャンスを見計らって拡大していくためには、「事業資金」が必要となります。

このうち、人件費や水道光熱費・家賃などの施設管理費、材料費などといったいわゆるランニングコストに関しては、日常的な売り上げ(利益)から算出されますが、事業発展や設備投資などを行う場合は一定の資金が求められます。

そんな、まとまった額の事業資金を、外部から何らかの方法で入手することを「資金調達」と言い、大きく5つの種類に分類することができます。

出典: 日本政策金融公庫資金調達出典: 経済産業省資金調達について

いずれも、現在手元にない資金を入手するという「目的・結果」は同じものの、下表で示している通り、それぞれ具体的に利用することになるサービスや施策、メリット・デメリットが異なります。

資金調達の種類 概要・具体例 メリット デメリット 返済の必要性
デットファイナンス

一般的に「借入」などと呼ばれる資金調達法で、バランスシート上では「負債」と記載される。銀行や金融機関のビジネスローン、公的融資制度、社債やコマーシャルペーパーの発行、ソーシャルレンディングなど。

・利息を損益として計上できる分、節税効果が見込まれる。

・比較的資金調達が容易。

・返済を含め利用後の資金繰りや事業計画を立てやすい。

・返済を遅延なく行い続けることで、社会的信用度が向上する。

・返済義務及び返済期限が発生する。

・「利息」や「金利」という余計な損益が発生する。

・自己資本比率が低下し、後の経営や資金調達に悪影響が出かねない。

あり
エクイティファイナンス 株式資本の増加によって、資金調達を行う方法。新規株式公開、自己株式の発行、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルによる投資など。

・返済義務が発生しない。

・利息・金利といった無駄な損益が発生しない。

・自己資本比率が上昇し、後の資金調達や経営に好影響が出ることがある。

・人脈を広げたりビジネスチャンスを増やすきっかけとなることがある。

・基本的には赤字でも資金調達が可能で、信用情報も影響しない。

・株主から反対や反発を受ける可能性がある。

・経営者としての発言両区が弱体化したり、経営権を失う可能性もある。

・支払う配当金が増える。(損益計上できない)

なし
ファクタリング(アセットファイナンス) 既得の資産を現金化することで資金調達をする方法。ファクタリング(売掛金売却)、リースバック、固定資産の売却など。

・返済の必要がない。

・事業者としての信頼度に関わらず利用できる。

・資産管理コストの削減や、資産価値変動リスクの回避につながる。

・利用後、信用情報に悪影響が残ることがない。

・流動資産が増加することにより、事業者としての信用度が上がる。

・そもそも資産がないと資金調達できない。

・資産の信用度や時価が低い場合、目的額の資金を調達できない。

・手数料がやや高額である。

なし
クラウドファンディング インターネットを介し、不特定多数の人から少額ずつ資金を調達する方法で、「購入型」「寄付型」「投資型」の3つがある。

・企業の規模に関わらず資金調達ができる。

・様々なプラットフォームが登場し選択肢が増えてきている。

・宣伝効果やマーケティング効果も期待できる。

・失敗するとかけた時間と労力が無駄になる。

・魅力的なアイデアや企画でないと資金が集まらない。

・アイデアや企画が外部に漏洩する恐れが高い。

・いったん企画を立てた以上キャンセルは認められない。

基本的になし

 いくつかある資金調達法のうち、「負債」を増やすこととなる「融資(借入・デッドファイナンス)」を利用した場合は、必ず「返済」が必要となります。

そして、この世の中に「返済」の義務が生じない「融資」は存在せず、それは融資ではなく「投資」となりますが、「即日ファクタリング」や「クラウドファンディング」のように、返済のいらない資金調達法もあります。

銀行融資・ビジネスローンなどの「デットファイナンス」

英語で「借金」「負債」を意味する「デット(Debt)」という単語がついていることでもわかるとおり、デットファイナンスとは金融機関や資産家などからお金を借り入れることにより、資金を調達する方法を指します。

資金調達の種類 デットファイナンス(借入金融)
特徴 金融機関や資産家などからお金を借り入れることにより、資金を調達する方法で、必ず返済期限までに返済をする義務が生じる。
具体的な例
  • 公的融資・・・日本政策金融公庫や商工組合中央金庫など「政府系金融機関」からの資金借入。
  • 制度融資・・地方自治体・金融機関・信用保証協会の3者が連携し実行する資金貸付制度。金融機関単体での融資が難しくとも、地方自治体と信用保証協会の協力を得ることで、借入しやすくなるのが特徴。
  • 公募債・・・不特定多数に対し債権(社債)購入を募集し、購入投資家に対し満期までは利子を支払い、満期が来た際には元本を一括返済する資金調達方法。
  • 私募債・・・縁故者や会社関係者など、50人未満の限定した投資家に社債購入を呼び掛け、資金調達をする方法。返済手順は公募債と同じで、発行限度額は1億円までと定められているが、公募債発行に必要な「「有価証券届出書」や「有価証券通知書」は不要。
  • 銀行融資・・・都市銀行・地方銀行・信用金庫などからの資金借り入れ。
  • ビジネスローン・・・銀行以外の金融機関が用意している事業者向け融資商品の総称で、公的融資や銀行融資より審査時間が短く資金入金がスピーディーだが、金利は高めの設定になっていることが多い。
  • コマーシャルペーパー・・・金融会社や証券会社を通じ、担保なしの約束手形を発行し、投資家に購入してもらうことで資金調達する方法。返済期限が1年未満など短期なのが特徴で、経営状況が良好でないと発行できず、金利は発行した企業に信用度などによって決定する。
  • 手形割引・・・保有する約束手形を決済期限前に手数料を支払うことで、金融機関や手形買取業者に買い取ってもらい資金を調達する方法。売掛金を売却するファクタリングと酷似しているが、手形割引には不渡り発生時、利用者に債権の弁済義務が生じる「償還請求権」があるため分類上「融資」として取り扱われる。
  • ソーシャルレンディング・・・クラウドファンディングの一種で、ソーシャルレンディングサービス運営会社がネットで募集した個人投資家から集めた資金を、ファンド業者を通じて資金調達を希望する企業に貸し付ける形の資金調達法。投資家(資金提供者)が審査を行うのではなく、ソーシャルレンディング業者が利用企業の返済能力等を審査・判断するのが特徴で、運営会社の信用度によって集まる資金は変化する。
返済の必要性 あり(ただし、「手形割引」において約束手形の決済日に予定通り決済が行われた場合、返済は発生しない。)

デットファイナンスには、公的融資や銀行融資、ビジネスローンや社債発行など様々なタイプがあります。

ただ、いずれにしろ「借入」には違いがないため、必ず「金利・利子」を含め、定められた「返済期限」までに「返済」をする必要があります。

そして、最も重要なポイントは、返済期限までに金利を含めた元本の全額を返済できなかった場合、「債務不履行」として延滞金利の支払いを求められます。

さらに、再三の催促にもかかわらず返済が成されない場合は、法的措置を取られ裁判に発展したり、「強制執行」となって企業の信頼が低下し、以後の資金調達が困難になるだけではなく、事業存続すら危うい状況に陥りかねません。

そのため、デットファイナンスによる資金調達する際には、売上・利益・支出など現在の財務状況と、金利を含めた返済額・返済期限を確実に把握したうえで、計画的な借入を心掛けるとよいでしょう。

デッドファイナンスのメリット・デメリット

次に、デットファイナンスによる資金調達で発生しうるメリット・デメリットについて、一覧表にまとめてみました。

メリット デメリット
  • 経営権や発言力に影響がない
  • 節税効果がある
  • 利用後の財務計画を立てやすい
  • 資金調達の選択肢が多い
  • 企業の信用力向上が期待できる
  • 金利を含めた返済の義務が生じる
  • 財務バランスが崩れる恐れがある
  • 自己資本率が低下する

デッドファイナンスを利用し資金調達をするメリットは、大きく5つあり、1つ目はこの後紹介する「エクイティファイナンス」と異なり、利用しても直接的に事業者自身の「経営権や発言力に影響が出ない」ことです。

また、借入元本とともに支払うことになる「金利」は、財務諸表において「損失」として計上し、「利益」から控除できるため、法人税の「節税効果」を期待できます。

さらに、デットファイナンスは借り入れですから、金利を含めた返済日・返済額・返済期限など、資金調達に関わる条件が利用前からある程度わかっています。

そのため、利用後どのように事業運営していくべきか、「財務計画を立てやすい」ですし、借入方法・借入スタイル・借入先などのサービスの「選択肢」が多く、用途や条件に合ったサービスを選べるのもメリットです。

さらに、借入した資金を遅滞なく完済できれば、それは企業にとって実績となるため、返済能力が高く約定通り契約を履行する企業だと、「信用力向上」を期待できます。

一方、いくら節税対策になるとはいえ、金利という損失を含めた返済の義務がある点は、デットファイナンスのデメリットになります。

また、事業運営において「借入・負債」による資金調達は「悪」ではなく、いたってまっとうな経営活動ですが、デットファイナンスの多様で財務諸表上に「負債」が増え、純資産がマイナスになる「債務超過」に陥る可能性があります。

財務バランスが崩れ債務超過になると、企業としての信用力が著しく低下し、最悪の場合資金繰りに行き詰まって、「倒産」という事にもなりかねません。

加えて、「負債・借入」という他社資本が流入し、自己資本率が低下すると、会社自体の経営基盤が脆弱であると判断されるため、以降の資金調達が難しくなる可能性もあります。

株式の新規発行で資金調達を図る「エクイティファイナンス」

エクイティファイナンスとは、企業が新株を発行し、それを投資家に購入してもらうことで、資金調達を行う方法の総称で、「エクイティ」は「自己資本・株式資本」を意味します。

資金調達の種類 エクイティファイナンス
特徴 株式資本の新規発行により投資家から資金を得る方法。提供される機資金は借入金ではなく出資金であるため、返済の義務が生じない。
具体的な活用例
  • 時価発行増資(公募)・・・事業者が新規株式を時価(現在株式市場での取引額に近い金額)で発行し、投資家に購入してもらうことで資金を調達する方法。自社の株価が高く、株式公開していて知名度があるほど、少ない発行数で多くの資金を得られる。そのため、小規模・無名の事業者には不向きな資金調達法と言える。
  • 株主割当増資・・・企業が「時価より安い株価」で発行した新株の「取得権」を、開業時出資してくれた株主に割り当て、株主が取得権を行使(割り当てられた株式を購入)することにより、資金を調達する手法。当然ながら、株式を発行した事業者の経営状況が良好で、かつ既存株主が資金調達による事業拡大に積極でないと、割り当てられた取得権は行使されず失効し、資金調達は失敗します。
  • 第三者割当増資・・・取引先や業務提携先、または機関投資家から資金を集めてファンドを立ち上げ、未上場のスタートアップ企業に投資するベンチャーキャピタルなどといった「第三者」に、新規発行した株式を購入してもらい資金を調達する方法。すでに多くの既存株主を抱え知名度もある大企業ではなかったり、いずれ新規上場することが期待される未上場のスタートアップ企業でも、多額の資金を調達できる可能性がある。
  • 転換社債型新株予約権付社債・・・株価が「転換価格」に達した際、株式に転換できる権利がついた社債を発行し、それを投資家などに購入してもらうことで資金を調達する方法。購入した社債の金額に応じ利子を得られるうえ、株式に転換されると大きな利益が得られるのが利点ながら、小規模事業者にはあまり利用されることのない手法。
返済の必要性 基本的になし(転換社債型新株予約権付社債が、債権の決済期限までに株式転換しなかった場合は、返済の義務が生じる)

上表で紹介しているどの手法であれ、このエクイティファイナンスによって資金を調達できるか否かは、既存株主が多くその理解を得ているか、機関投資家から注目されるほどの規模・知名度があるかがカギになります。

そのため、これまでは条件を満たしにくい小規模経営の事業者に、このエクイティファイナンスは普及・浸透していませんでした。

しかし近年、中小企業の発展と国内経済の活性化を図るべく、経済産業省(中小企業庁)がエクイティファイナンスの基礎知識や、投資契約書のひな型を取りまとめWEBサイトで公開するなど、その普及に乗り出しています。

エクイティファイナンスのメリット・デメリット

次に、エクイティファイナンスによる資金調達で発生しうるメリット・デメリットについて、一覧表にまとめてみました。

メリット デメリット
  • 返済義務がない
  • 自己資本比率が向上する
  • 有益な人材・企業とのコネクションができる
  • 株主に配当を支払う義務が生じる
  • 事業経営に対する発言力や影響力が弱まる
  • 非上場の場合は突如資金難に陥るリスクがある

エクイティファイナンス最大のメリットは、「借入・借金」であるデットファイナンスと異なり、発行した株式購入という「投資」による資金調達であるため、原則として「返済の義務が生じない」事でしょう。

返済の義務がないため、多額の資金を調達しても、債務不履行による法的措置や強制執行などに陥る不安を抱くことなく、事業発展に全精力を注ぎこむことができます。

また、エクイティファイナンスで入手した資金は、「自己資本」として取り扱われるため、財務諸表上の総資本に占める「自己資本比率が向上」します。

すると、企業としての金融機関からの信用度や、投資家からの評価、あわよくば自社の株価も併せて向上するため、デットファイナンスにしろエクイティファイナンスにしろ、以降の資金調達が有利になるという効果も期待できます。

さらに、エクイティファイナンスを通じ、事業発展のために有益なノウハウや資金力を持った、「投資家や企業とコネクション関係を築ける」のも、大きなメリットになってきます。

一方、返済の義務が生じないため、借入時のように「金利・利息」も発生しませんが、その代わり株主に対し所得している株数に応じた「配当金を支払う(※)」必要があります。

※転換社債型新株予約権付社債の場合は、株式に転換されるまでの間、配当金ではなく利子が購入者に支払われる。

そのうえ、借入時の金利・利息は損失として計上することにより節税効果を期待できますが、あくまでも利益の分配である「配当金」は損失ではないため、節税効果がありません。

また、エクイティファイナンスを実行すると、もれなく株主(既存株主+新規株主)側の持ち株比率が高まり、反対に事業者自身の持ち株比率は低下します。

その結果、事業運営にかかわる事業者自身の発言力が低下したり、極端な場合は経営権そのものを失ってしまう場合もあるため、資金調達の必要性と持ち株比率との兼ね合いには、十分配慮すべきです。

さらに、株式上場してる企業の場合は、株式市場に手取引が行われるため問題ありませんが、非上場企業の場合、株主が何らかの事情で株式を現金化したいと申し出た場合、事業者が現金を準備してそれに応じるしかありません。

そのため、多額の株式の現金化を求められてしまった場合、現金化に応じることができず、資金繰りに行き詰まってしまう可能性があります。

フリーランスでも利用できる「ファクタリング」

ファクタリングは、銀行融資やビジネスローンのようないわゆる「信用貸し」ではないため、取り引きされる売掛債権の信用度が高ければ、利用者自身の財務状況や返済能力、信用情報などは重視されません。

資金調達の種類 ファクタリング(売掛債権の買取)
特徴 売掛債権という事業者の資産を買取に出すことにより、資金を調達する方法で、融資と異なり返済の義務がなく、中小企業や個人事業主でも利用しやすい。
具体的な活用例
  • 2社間ファクタリング・・・売掛債権を買い取り資金を用意するファクタリング会社と、利用者の「2社間のみ」で売掛債権の譲渡契約を締結するファクタリング手法。売掛先に債権譲渡を知られることがなく、手続き的にも容易で資金の入金スピードも速いのが利点。
  • 3社間ファクタリング・・・ファクタリング会社・利用者・売掛先の3社間で、売掛債権の譲渡契約が取り交わされるファクタリング手法。売掛先の承諾が必須なため、必然的に債権譲渡を知られてしまうが、2社間ファクタリングより手数料が安めなのがメリット。
  • 注文書ファクタリング・・・通常、ファクタリングにおいて買取されるのは、成果物の納品が済んでいる売掛金(請求書)だが、納品前の注文書の時点で代金受け取りの権利絵尾売却し、資金を調達する手法。
  • 医療報酬ファクタリング・・・医療機関が社会保険や国民保険に対し請求する介護報酬や医療報酬債権を買い取り、現金化するファクタリング。利用者自身の信用力も非常に高く、ほぼ未回収リスクもないため、手数料が低く設定されるのが特徴。
返済の必要性 なし

業種によっては、売上自体は安定しているにもかかわらず、売掛債権の決済スパンが長すぎてキャッシュフローが追い付かず、仕入れや人件費の支払いなどが滞り、「黒字倒産」してしまう事業者もいます。

資金調達がうまくいかないことによる黒字倒産を減らし、かつ中手企業の事業拡大や発展を図るべく、近年経済産業省では、ファクタリングのように売掛債権を活用した資金調達を推奨・推進しています。

ファクタリングのメリット・デメリット

次に、ファクタリングによる資金調達で発生しうるメリット・デメリットについて、一覧表にまとめてみました。

メリット デメリット
  • 返済の必要がない
  • 融資より審査が柔軟で信用情報への影響もない
  • 資金の入金がスピーディー
  • 償還請求権なしの契約も多い
  • 未回収リスクを分散でき管理コストも削減可能
  • 手数料が発生するうえやや高額
  • 所有する売掛債権の範囲でしか資金調達できない
  • 債権譲渡登記が必要なケースがある

ファクタリングは、融資とは異なるため「返済なし」ですし、当然ながら金利・利息は発生しないほか、銀行融資やビジネスローンより手続きが容易で「審査も柔軟」なことが影響して、「資金入金までのスピードが速い」こともメリットです。

また、利用後に信用情報に利用履歴などが残ることもないため、以降の資金繰りや事業運営に悪影響が出る心配もないうえ、知名度がなく規模の小さい開業間もない中小企業や個人事業主でも、比較的資金調達しやすいです。

さらに、償還請求権なしのファクタリングも多いため、それを選択すれば、万が一売掛先が倒産しても、債権を肩代わりする必要がありません。

加えて、決済期限まで支払いを待つのは、利用者ではなくファクタリング会社になるため、「未回収リスクの分散や債権管理コストの削減」にもつながります。

一方、ファクタリングを利用する場合、2社間ファクタリングなら10%から20%程度、3社間ファクタリングなら数%から8%程度の手数料を請求されます。

銀行融資はもちろん、ビジネスローン利用時の金利よりかなり高めの設定になっているため、会社の業績・必要なし金の額と用途、資金調達の緊急性などとよく相談のうえ、利用するか否かを決めることが大切になります。

また、当然ながら買取に出す売掛債権の金額以上の資金を、ファクタリングで調達することは不可能ですし、債権の二重譲渡を防ぐ対策として、「債権譲渡登記」を求めるファクタリング照射もあります。

債権譲渡登記の手続きはファクタリング業者が行いますし、費用についてもすべて業者持ちですが、債権譲渡登記をすると、誰でもその事実を知ることができます。

そして、銀行などに大食いの融資を申し込んだ場合、その審査の過程で「債権譲渡登記の有無」を調べられることがあり、譲渡の事実が審査不合格の要因になる可能性もあります。

返済不要で高額資金調達も狙える「クラウドファンディング」

クラウドファンディングは、企画やプロジェクトを立ち上げ、ネットでそのプロジェクトに対する支援者を募り資金調達をする手法で、ネットが浸透してきた現在、利用者が増加しています。

資金調達の種類 クラウドファンディング
特徴 不特定多数(群衆=クラウド)から少額ずつ資金を調達(ファンディング)する手法で、知名度が低く開業間もなく知名度も低い小規模事業者や個人事業主、フリーランスなどでも挑戦しやすい資金調達法。
具体的な活用例
  • 購入型クラウドファンディング・・・企画・プロジェクトの起案者が、商品やサービスなどのリターンを用意し、支援者が取得権を購入する形で資金を集める。「All-In型」と「All-or-Nothing型」があり、前者の場合は1人でも支援者がいればプロジェクトは成立するが、後者の場合設定した目標調達額に達しないと、プロジェクトが成立しない。
  • 寄付型クラウドファンディング・・・その名の通り、リターンという見返りが約束されていない状態で、起案されたプロジェクトに対し、支援者がお金を寄付するスタイルのクラウドファンディング。見返りがないという性質上、被災地の支援など社会貢献性の強いプロジェクトが多い。
  • 投資型クラウドファンディング・・・株式会社が自社の未公開株を、機関投資家に対して販売することで資金を得る調達法。
  • 融資型クラウドファンディング・・・資産運用を検討している個人投資家から小口資金を集め、大口化して企業に貸付・融資するクラウドファンディング。
返済の必要性 融資型のみ返済の必要あり

クラウドファンディングの優れている点は、資産運用を目的としている投資家や企業だけではなく、投資に興味のない個人に対してもアプローチできることです。

魅力的なリターンが用意できなくとも、プロジェクトに夢や将来性があったり、社会的な貢献度の高い企画だった場合、想像以上の資金を調達できる可能性もあります。

クラウドファンディングのメリット・デメリット

次に、クラウドファンディングによる資金調達で発生しうるメリット・デメリットについて、一覧表にまとめてみました。

メリット デメリット
  • 規模や所有資産に関係なく多額の資金を調達できる
  • 企画やプロジェクトを不特定多数に知ってもらえる
  • 商品・サービスに対するマーケティング活動の一環となる
  • 手間と時間がかかる我當楼に終わることもある
  • プラットホームの利用に手数料がかかる
  • 企画やプロジェクトの詳細が流出する

前述した通り、起案したプロジェクトや企画が有意義で将来性を見出せるものであれば、経営規模や所有資産に関係なく、多額の資金を調達できる可能性を秘めている点が、クラウドファンディング最大のメリットです。

また、プラットホームを通じて、温めていた企画やプロジェクトを公開し支援を募った時点で、そのプロジェクトは不特定多数の目に触れることになるため、それが商品やサービス場合は、一定の宣伝効果を望むことができます。

さらに、クラウドファンディング用のプロジェクトに、多くの支援が集まり目標に到達した場合、そのプロジェクトは世間から、ある程度の好評価を得たという証になります。

この結果を、マーケティング活動の一環として利用し、商品・サービスの展開や、初動出荷数の指標として利用することも可能です。

一方、起案さえすれば必ずそのプロジェクトが成立するとは限らず、支援者が思ったように集まらずクラウドファンディングに失敗した場合は、それまでかけたコストや料力が無駄になってしまうこともあります。

また、クラウドファンディングのプラットフォームを利用するには手数料が必要で、その相場は最終的に集まった資金の「9~20%」程度と、決して安いとは言えません。

さらに、宣伝効果が見込める半面、否応なく規格やプロジェクトの詳細が不特定多数の目に触れることになるため、商品やサービスに関する情報が他社に漏洩することも、ある程度覚悟すべきです。

どれがベスト?自分の事業計画・目的にあった資金調達法の選び方

ここまで、資金調達の種類と主だった資金調達法を紹介してきましたが、案外種類が多くそれぞれメリット・デメリットも異なるため、どの資金調達法を選べば良いかわからない、という方もおられるはずです。

そこで、この項では以下の通り、資金調達法を選ぶ際、着目して欲しい5つのポイントをまとめてみました。

赤字法人や緊急事態でもファクタリングなら低い手数料で利用できる

資金調達が必要となるケースはさまざまで、新規で事業を立ち上げる場合や今ある事業の拡大・多角化を目指す資金を調達するときはともかく、事業存続のための資金を調達したい場合は、既に他の方法を模索していることもあるはずです。

そんなとき頼りになるのは、赤字経営の法人や信用状態の優れない個人事業者、事故やトラブルなどの緊急事態に遭遇し、早急に資金が必要となった事業者でも、融資より数段審査が柔軟で利用しやすい「ファクタリング」です。

とはいえ、一言でファクタリングと言っても、サービス提供している業者は多岐にわたり、業者によって得意としている業態や業種違えば、審査の結果提示されるファクタリング手数料も異なります。

せっかく、「虎の子」ともいえる売掛債権を買取にd指し手まで資金調達を狙うのであれば、理由に関わらず数社のファクタリング業者に申し込みをして見積もりや手数料の掛け目を確信し、最も条件の良い業者を選ぶようにしましょう。

そうすれば、申し込みをした当日中に、低い手数料で資金調達できるファクタリング業者が見つかり、資金調達の目的を達成できるはずです。

返済の必要がある場合は返済能力とのバランスが最重要!

審査が柔軟なファクタリングと比較すると、ややハードルの高いイメージのある、銀行融資やビジネスローンですが、手数料で利益が目減りすることを考えると、まだ「融資」が多くの法人や個人事業主にとって、メインの資金調達手段であることは確かです。

ただ、融資は負債・借入である以上、必ず返済期限までに「返済をする義務」があり、それを怠ると法的措置や強制執行など、企業や事業主として、存続を危ぶまれる事態に陥ってしまう可能性があります。

ですので、融資など返済の義務が生じる資金調達を試みる場合は、審査に通るか通らないかとは別に、普段の売り上げ下実績などを精査して、自社の返済能力と返済額とのバランスが取れているか、事前に再確認しておくべきです。

株式発行による資金調達には株主の理解が必須

株式発行による資金調達、つまりエクイティファイナンスは、返済の必要がないうえ自己資本比率も低下しない、リスクの少ない資金調達法と言えます。

しかし、新規株式の発行で資金を調達すると、その種類によっては株式が既存株主以外に流出し、1株当たりの株主の権利が希薄化する可能性があります。(※)

※株主割当増資の場合、既存株主以外に権利が分配されることはないが、増資した株主としなかった株主との間に格差が生まれる。

ですので、エクイティファイナンスを実行する際には、企業の現在の財務状況と資金調達の目的を、既存株主によく理解してもらう必要があるでしょう。

資産売却で資金調達する場合はイメージ低下を考慮すべき

売掛債権や土地・家屋などの不動産、社用車や機材などの動産といった会社の資産を、売却したりリースバックして資金を調達する、ファクタリングをはじめとした「アセットファイナンス」は、審査が柔軟もしくは不要で返済もないため、リスクの少ない資金調達法と考えられがちです。

ただ、アセットファイナンスを行った事実が取引先などに知られた場合、「資産を売却するほど資金に困っている。」という、マイナスイメージがどうしても付きまとうため、後のビジネスに悪影響を及ぼしかねません。

もちろん、目先のイメージ低下より、資金調達が急務である場合は致し方ありませんが、時間的・財務的余裕が少しでもあるのであれば、資産売却に伴うイメージ低下へも、資金調達法を選ぶ際の判断材料入れておくべきです。

例えば、同じファクタリングであっても、債権譲渡登記を求めないファクタリング業者で、売掛先の了承が不要である2社間ファクタリングで資金調達すれば、イメージ低下を防ぐことができます。

「現在」ではなく「未来」のために最善の方法を選択する

これは、すべてのケースで言えることですが、今現在、まとまった額の資金が必要だからと言って、「すぐ資金調達をしなければ!」と考えるのは時期尚早です。

例えばファクタリングにしても、買取に出そうとしている売掛債権は、決済期日が来れば決して安くない手数料を引かれてしまうことなく、満額手元に入ります。

ですから、事業コストの節約や交渉などによって時間を稼げるのであれば、ファクタリングを利用するのではなく決済期日まで粘ったほうが、企業の「将来」のためには有益です。

また、決済期日が来れば一括で手数料を引かれ、売掛金もきっちり接収されるファクタリングと異なり、融資は分割での返済可能ですし、交渉次第では返済期日の延長を頼むことができます。

つまり、資金調達法を選ぶ際は、そもそも資金調達すべきなのかどうかも含め、自社の「現在」の状況だけではなく、未来」のためにどの方法を選択すればよいか熟慮すべきです。

資金調達に関するよくある質問・Q&A集

Q
大きな資金が必要となる、事業立ち上げ(スタートアップ)の時おすすめの資金調達法は何ですか?
A
これから起業をしようという場合、ほとんどのケースで事業者としての社会的・経済的信頼度は、未知数もしくはゼロの状態です。そのため、銀行から融資を受けるのは難しいことが多くなります。そのため、事業者としての過去の実績ではなく、将来性を加味してくれるクラウドファンディングや、利用者自体の企業規模や営業成績に関わらず資金調達可能な、ファクタリングなどの資金調達法が最適となります。また、必然的に返済能力はそこまで高くないこともあるため、助成金や補助金、公的融資制度などを併用するなど、中長期的な資金繰りを検討すべきでしょう。
Q
資金調達を行う際、ここは注意すべきだというポイントを教えてください。
A
 
資金調達をするとき、気を付けておきたいことは、以下の通り選択した資金調達法ごとに異なります。
  • デッドファイナンス・・・利息を含む「返済」が発生するので、収入と資質とのバランスに配慮する。バランスシートにて「負債」と記載されるため、自己資本比率が低下し、企業としての評価も落ちる。
  • エクイティファイナンス・・・融資に比べ、資金の着金まで手間と時間がかかる。条件によっては、会社の議決権(意思決定権)を失う可能性がある。配当金が発生する。
  • ファクタリング(アセットファイナンス)・・・審査完了まで手数料が判明しない。融資時の金利に比べると手数料が高い。取引先に利用を知られ信頼度が低下する恐れがある。
  • クラウドファンディング・・・必ずしも資金調達に成功するとは限らない。アイデアや企画をライバル他社に知られる可能性がある。
  • 助成金・補助金・・・利用条件や用途に制限がある。
それぞれの注意点をよく把握し、会社の現状と資金の用途に合った資金調達法をチョイスしましょう。

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