事業を営む方で請求書を発行する機会の多い方も一定数見られています。
2023年にはインボイス制度が導入されてから請求書の書き方が複雑化しており、適切な請求書の作成が必要となるケースが増えました。
そこで今回は、インボイス対応の請求書を作成する方に向けて、請求書の書き方やテンプレートなどについて解説します。
この記事を読むことで以下のことがわかります。
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- インボイス対応請求書の書き方・作成に必要なもの
- インボイス対応請求書のテンプレート
- インボイス対応請求書作成時の注意点
出典: 国税庁インボイス制度出典:総務省インボイス制度について
電子発行と紙発行におけるインボイス対応請求書の書き方と必要なもの
電子発行と紙発行でのインボイス対応請求書の書き方などを知っていると、どちらの発行方法を選択する場合でも安心して手続きが進めやすくなります。
電子発行と紙発行におけるインボイス対応請求書の書き方と必要なものについてそれぞれ解説します。
電子発行でのインボイス対応請求書の書き方
請求書を電子発行で作成する場合、電子データで作成した請求書があれば十分です。
請求書作成ソフトなどのテンプレートを用いて請求書を作成し、PDFファイルなどでクライアントに請求書を渡します。
データを送る方法に指定はなく、メールに添付して送ったり、クラウドサービス上にアップロードしたりしてデータが確認できるようにします。
インボイス対応請求書を作成する際には以下の項目を記載してください。
- 請求者名
- 取引年月日
- 取引内容
- 取引金額
- 請求書の交付を受ける事業者名
- 請求書番号
- 振込先口座
- 請求書のタイトル
- 登録番号(インボイス)
- 軽減税率の対象の有無(インボイス)
- 税率ごとの合計金額(インボイス)
- 税率ごとの消費税額(インボイス)
請求書には法的拘束力はなく、法律で決められたフォーマットはありません。
しかし、上記の項目を記載すれば双方の企業にとって報酬でのトラブルが起こりにくくなるものとして提示されています。
必要があれば振込の期日や振込手数料をどちらが負担するのかについて記載します。
記載している内容に不備がないか、後ほど紹介するテンプレートを参考にしてチェックしてみてください。
ちなみに、インボイス制度は2023年10月から執行されましたが、独占禁止法に該当するとの指摘が公正取引委員会から出ています。
そこで、インボイスへの加入は強制ではなくなり、6年間の猶予期間が設けられました。
インボイスに加入しないと受け取れる報酬はやや減りますが、今までとさほど変わらないほどの金額が受け取れます。
上記の仕組みからインボイスに加入しない場合は、適格請求書でなくても問題ありません。
インボイスに加入するかどうかで請求書に記載する情報に若干違いが出ることを覚えておいてください。
紙発行でのインボイス対応請求書の書き方
紙発行でのインボイス対応請求書の書き方については、請求書のテンプレートに加え、封筒や切手、請求書在中を示すスタンプが求められます。
電子発行のときと同じようにソフトを活用して請求書を作成し、紙でプリントアウトして問題なければ封筒に入れて切手を貼って郵送手続きを済ませます。
紙で請求書を発行するケースは減りつつありますが、電子媒体で書類管理した場合にサイバー攻撃を受けるなどして情報漏洩してしまうリスクが上がりやすいです。
情報漏洩に不安を感じている場合は、紙発行でインボイス請求書を発行してください。
書類作成の手順は電子媒体と基本的に変わりません。
テンプレートをデータとして保存しておき、書類作成するまでは同じで印刷だけPDFでなく紙形式にするだけとなります。
ファクタリングとは、事業者が未回収の請求書(売掛債権)をファクタリング会社に売却し、迅速に資金を調達する手法です。この取引そのものには消費税は課税されません。ファクタリングは金融サービスとみなされており、消費税法上で非課税取引とされています。
ファクタリングの場合のインボイス制度の影響について
ファクタリング取引において、事業者・ファクタリング会社・債務者間での金銭の流れにインボイス制度が直接的な影響を及ぼすことはありません。
このため、ファクタリング即日を利用する際には、インボイス制度に対して特別な対応を求められることはほとんどありません。
ファクタリング手数料とインボイス制度
ファクタリングを利用する際には、基本的に手数料が発生します。これには、以下のような費用が含まれる場合があります:
- 基本手数料
- 事務手数料
- 振込手数料
これらの手数料も、ファクタリング取引が非課税であることから、インボイス制度の影響を受けません。ただし、ファクタリング利用に伴う間接的な費用、たとえば移動のためのガソリン代や交通費には消費税が含まれるため、これらは課税対象となります。
債権譲渡登記の費用と消費税
ファクタリングにおける債権譲渡登記は、ファクタリング会社が売掛債権を正式に譲り受けたことを公的に記録する法的手続きです。
この登記によって、他の第三者(たとえば他のファクタリング会社)が同じ債権を主張しても、登記済みのファクタリング会社が法的に優位に立つことが可能です。
このような手続きにかかる登記費用や、関連する交通費・事務費などは、消費税の課税対象となります。ファクタリング自体は非課税ですが、周辺費用については課税対象となる可能性があるため、注意が必要です。
インボイス対応請求書のテンプレートの事例
インボイス対応請求書のテンプレートは以下の通りです。
(Invoice_Template.pdf)
先に請求書発行主の会社の名前や住所、請求書の番号などを最初に記載します。
次に、クライアントの名前や住所などを記録しておきます。
基本情報を記載した後に請求書内訳の名称や数量、単価、合計額を記載してください。
最後に合計額や支払方法などを記しておきましょう。
口座振込での支払いが一般的であるため、口座番号を請求書に残しておきます。
ただ、上記は1つの例で、書類の見た目はどこからテンプレートを作成したのかによって変わってきます。
しかし、記載する項目の順番はどの書類でも変わりません。
インボイス対応請求書を作成する際は必要事項の記載を確認
インボイス対応請求書を作成する際には以下の項目をチェックしておいてください。
以下で詳細を解説します。
求められている記載内容が明記されているか
インボイス対応請求書を作成する際には、求められている記載内容が明記されているか確認します。
請求書に記載している内容に不備があると、大きな問題に発展することがあります。
特に請求書の項目や金額、口座振替してもらう口座情報の間違いがあると、請求書を修正して提出する作業が必要です。
金額についてはクライアントの方が気付いてくれることはあっても、口座情報の間違いは気付いてもらえない可能性があります。
記載内容に間違いがないかよく確認した上で請求書を提出してください。
請求書の内容に間違いがあることが指摘されたら、可能であれば電話で謝罪する意思を伝えます。
そこで請求書作成のミスの再発防止の意思を伝えます。
その後、請求書の修正をすぐに行い、具体的な再発防止策を伝えてください。
メール便を使用せずに送付しているか
インボイス対応請求書を作成する際には、メール便を使用せずに送付しているか確認します。
郵送で請求書を送る場合、請求書は信書扱いとなります。
信書は差出人の考えや思いを表現し、事実を伝える書類のことです。
信書はメール便での送付が認められていないため、普通郵便やレターパックなどの方法を使って郵送してください。
ただ、近年は信書に対応できる郵送サービスが増えつつあります。
運送業者ごとで信書の郵送が可能なサービスがどうなっているか確認することをおすすめします。
請求書が消滅時効になっていないか
インボイス対応請求書を作成する際には、請求書が消滅時効になっていないか確認します。
請求書の作成は法律で義務付けられているわけではありませんが、何もしなかったら報酬は振り込まれません。
義務ではなく権利であるため、インボイス対応請求書を作成してクライアントに渡す必要があります。
一般的に請求書の債権は5年で時効となります。
請求書に記載している支払期日の翌日から5年間が経過すると、消滅時効となって報酬が受け取れません。
5年経っていないのであれば、本来請求書を渡すはずの月に請求書を作成し忘れたとしても、すぐに請求書を作成して渡せば報酬が受け取れます。
ちなみに、2020年3月までは旧民法が適用されていて、請求書の事項は2年間でした。
しかし、2020年4月からは新民法が適用されて請求書の事項が5年間に引き延ばされました。
旧民法の期日のまま記憶していた方は、消滅時効の期間が変わったことを押さえておきましょう。
電子帳簿保存法に違反していないか
インボイス対応請求書を作成する際には、電子帳簿保存法に違反していないか確認します。
電子帳簿保存法は税務関係の帳簿を電子データとして保存することに関する法律です。
電子帳簿保存法の違反になりうる要因として以下のものがあげられます。
- 解像度や読み取りカラー、タイムスタンプなどのデータ保存要件を満たしていない
- 取引年月日・取引先名・取引金額の3つの検索要因を満たしていない
- 法人で7年・個人で5年以内に請求書データを紛失・破棄している
必要事項を記載し、正しいデータフォーマットで決められた期間保管する必要があります。
上記の電子帳簿保存法を違反すると、以下の罰則が与えられる可能性があります。
- 青色申告が使えなくなる
- 推計課税や追徴課税が課せられる
- 会社法での過料が科せられる
確定申告で不利に働く要件ばかりが罰則として並んでいます。
追加で支払義務が発生するだけでなく、確定申告時に65万円の特別控除も受けられなくなります。
電子帳簿保存法に違反することがないように気を付けてください。
請求書の書き方とテンプレートについてのよくある質問
請求書の書き方とテンプレートについてインターネット上にさまざまな質問が飛び交っているのが現状です。
今回はその中でも特に質問されることの多い以下の質問について回答します。
以下で詳細を解説します。
請求書の備考欄には何を記載すればよい?
請求書の備考欄には請求金額を振り込んでもらうための口座情報などを記載します。
口座情報を記載する項目が設けられているならそこに記載します。
しかし、口座情報を記載する項目がないなら備考欄に記載してください。
請求書の備考欄に何かしら記載しなければならないといったルールはありません。
必要がある場合に請求書に情報を記載してください。
請求書に収入印紙は不要?
請求書に収入印紙は必要ありません。
収入印紙は一般的に5万円以上の取引を実施する場合に使うものです。
しかし、請求書においては取引額が5万円を超える場合でも使う必要はないです。
ただ、領収書であるものは収入印紙の貼り付けが求められます。
請求書と領収書を兼ねているケースがあり、その場合は収入印紙が必要です。
請求と支払いタイミングが同時の場合だと、請求書兼領収書の扱いになります。
とはいえ、請求と支払いタイミングが同時になるケースは少ないです。
そのため、基本的には収入印紙は必要ないと考えておいてください。
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